自然素材(自然由来の素材)とは!?
決して難しい建築の専門用語では有りません。もっと身近で、もっとも日本の住いづくりに合っていて、そして欠かせない建材でもあります。決して自然素材は難解なものでは有りません。今だからこそ自然素材は、古くて新しい建材なのです!
そんな自然由来の素材である、漆喰・珪藻土が本来もつ性能とはほど遠い、名ばかりの別物と捉えられる商品が市場に多く存在しているのが現実です。漆喰・珪藻土の名のもとに、プロ・アマ問わず、メーカーの宣伝文句を鵜呑みにして性能も疑わず、信じて家主に使用を勧め、家主はプロが言うなら…と信じて採用されている方も多いのでは無いでしょうか?
漆喰・珪藻土に限っていえば、誰もが天然・自然素材と信じているその製品の九割以上が実際には?の商品とのこと…。
◎珪藻土とは?
珪藻土の建材としての一般的な歴史は比較的浅く今から20年程前と言われています。そうなのです。長い歴史をもつ漆喰と違い、珪藻土の歴史は非常に浅いのです。身近なものでは、バーベキューなどで使用される七輪が珪藻土です。
珪藻土とは、海草(藻類)の一種である珪藻の殻などが、長い時間をかけて、石化した堆積物(土)の事です。一概に珪藻土と言っても、全国各地で採掘されています。各地の風土や環境によってその性質も違います。私の知る限り、全国でも稀有な性能を発揮しているのは、北海道稚内の珪藻土(珪藻頁岩)があげられます。吸放湿率の実験資料によると(数値が高いほど性能が高い)岡山2.5%、大分2.6%、秋田3.2、石川4.9%などに比べ、北海道稚内は14.8%と他とは比べられないほどの性能があります。
床下や押入れなどの除湿対策でよく使用される竹炭や活性炭などとの比較でも、他をはるかに上回る性能が見られます。
Y’sでは、この稚内珪藻頁岩を産地の協力のもと、本来に性能を活かす家づくりにも取り組んでいます。
珪藻土や漆喰に限らず、性能に求められるのは吸放湿です。吸っている(吸水)だけではダメで放出しなくてはいけません。
しかし、この珪藻土は『単体では固まる事のできない特性』があるので、単体で壁や天井などに塗る事は不可能な材です。それらを可能にする為には漆喰に混入をしたり、合成樹脂などの化学物質を混ぜて固める事が多く、一般的にカラーバリエーションが多い珪藻土商品は、石油系化学有機顔料を使用していることが多いのです。しかし、それでは既に自然素材では無くなってしまい、性能も別物なのです。
塗材にする為には、珪藻土を加工(焼成)する必要もあります。その焼成の温度によっても大きく性能に違いが出てしまい、中には、本来の珪藻土がもつ性能をほとんど失っている商品も存在します。そして最近では海外製の石灰系珪藻土?と言う商品も販売しているようですが、石灰と珪藻土は別物です。
本来の性能とは、ほど遠いが、一般的なビニールクロスよりは性能は高い…それを納得して購入される分には良いのですが…
因みに七輪の名産地である能登などでは、珪藻土を固めるのではなく、切り出す方法で作られているそうです。良質のはずです
家づくりの際に、誰かの宣伝文句やただの噂やデマに踊らされない様に、少しだけでも自然素材の知識を学んでみては如何でしょうか?工業製品によくある「製品の安全性」の解説なんて、もともと自然の素材で作られていれば、わざわざ説明や解説なんて不必要だとさえ思います。
ビニールクロスが悪で、自然素材のみが良いと言っている訳ではありません。
ただ家づくりに携わる身としてあえて言いますが、事実は事実として、それを隠す事の無いよう正直に伝える知識と技術を専門家が備え、事細かに説明を行い、その中で建主に選択の自由を与えるべきと思っています。
今の現状では、とても建築主に選択の自由があるとはとても思えません。
そして建主である皆さんも、ほんの少しでも材について勉強をしてみては如何でしょうか?
家づくりに携わる身として、ただそれだけを願っています。
湘南 ワイズは地域の建築を創造していきます