板金工事というと馴染みが薄いかもしれませんが、住宅、こと木造の家づくりにおいて代表的な工事種別を挙げると、
銅板、鉄板葺きなどの屋根や外壁、雨樋など、特に窓以外で雨の侵入を防ぐための雨仕舞を一手に引き受けるような職種になります。
屋根や壁など複雑で入り組んだ形状に対し、切る、折る、曲げるなどをしながら、雨が建物内部に侵入しない様に防ぎ、
暴風でも吹き飛ばされず、かつ美しい仕上げでなければなりません。
これらの作業は機械化が進んでいる現代とはいえ、職人の手で行う作業も多く、家づくりを行う職種の中でも特殊な技能が求められます。
大正天皇の夏の静養地として造営された日光田母沢御用邸。
三階を除く全ての屋根がひと繋がりになっています。
それぞれの屋根勾配が微妙に違いがあり、ここまで綺麗に納めるには、
板金職人の技が光ります。
【屋根】
板金工で使われる屋根葺き材は金属になります。金属といってもステンレス、ガルバリウム鋼板、銅板、トタン(亜鉛鉄板)などが現在では多く使われています。
ステンレスは耐候性が高いですが、価格は高く、材が固いため加工は容易ではありません。トタンは価格は安いですが、耐候性が劣ります。
最近では価格が安定している事に加えて、加工もし易く、耐候性もほどほどにあるガルバリウム鋼板葺きが多くなりましたが、表面を塗装しているので、
材質の良否はともかく、経年劣化は避けられない材とも言えます。
それらの中でも神社やお寺に多く使われる材が銅板になります。
名古屋城の銅板葺きの屋根。一見すると瓦の形をした屋根に見えますが、
下地が全て木造でつくられており、瓦のように曲線を表現して、その上から銅板を葺いてあります。
銅は材の特性から経年変化により酸化することによって、錆(緑青・ろくしょう)が発生し、
その緑青が表面に皮膜をつくり、内部の腐食を防ぐ効果や抗菌作用があるのです。
同じ錆でも他の材質の場合は、緑青とはならず、普通の錆となって劣化し、下地の木もろとも腐らせてしまいます。
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