建物は、2019大磯物件の第2弾、閑静な住宅街の一角にあります。
今回の建築地も、当初から住まい手と二人三脚で探し、吟味した土地になりますが、その二人三脚も数年間に渡り、その間にご家族も増え、お仕事も生活も気持ちも変化があったのか?生活環境や利便性も良い大磯での土地決定となりました。
前記地にも書かせて頂きましたが、再度、おさらい、、、
建物のご紹介の前に、少し土地探しのお話をさせて頂きます。
家づくりの計画は、土地探しからはじめられる方も少なくないと思いますが、施工者・設計者側サイドから言わせて頂きますと、家づくりを計画するにあたり、建築地が決まっていない段階から建物を検討していくと言う事は、非常に良い事だと思います。
ご存知かも知れませんが、各種法的規制等や造成の有無や設備、建築など、土地と建物を合せた総コストを都度検討しながら候補地を探せるからです。また、首都圏の場合、建物よりも土地の方にかかる予算のほうが張るかに大きいケースが多いですが、土地は、その場所が気に入れば、どちらで購入されてもその土自体に変わりはありません。
しかし、建物はそういうわけにはいきません。住まい手のご希望や快適な建物をどこまで形で表せるか、それは設計者・施工者のセンスや技術力が問われます。家づくりの第一歩は、作り手と住まい手が協力し合い、土地探しから踏み出される方が、弊社の場合は、8割以上と多くいらっしゃいます。
土地探しの第一歩は、不動産業者からではありません。要注意なのです。
特に気をつけて下さい。長年の経験上、土地購入後に建物の検討に入られる方々は、色々な意味で後から困ることが本当に多いのです・・・後悔先に立たず。その理由は・・・?!
土地の購入から検討されている方々には、「良い土地の見つけ方」のセミナーも個別に行っていますのでご興味があればお声がけ下さい。
さて、この建物の本題ですが、、
今回の建築敷地は、いわゆる専用通路・旗竿地など呼ばれ、どちらかと言うと不動産業者をはじめ、一般の方々に認識では人気が無い・不動産価値が落ちるとまで言われる事のある土地形状になります。
しかし・・・弊社はあえて、この専用通路・旗竿地をお勧めする場合もある位、一定の条件によっては、大変、良い土地でもあるのです。不動産価値が下がる事はありません!
本敷地も土地の販売時は、長い専用通路の先に建物がたつ場所が50坪ほどあり(有効敷地と言います)、南側境界のすぐ近くに隣家が迫るなどしていた為、一見すると『日が当たらない』『毛住環境が悪い』の一言で長く売れ残っていた土地らしく、売れ残る・・・その分、販売当初からの土地販売価格も数百万単位で価格が下がり、それ故に不動産業者・一般の方にすれば、より「悪い立地環境」のレッテルを貼られていただろう土地かも知れません。
依頼を受け、早速、現場確認を行い、その場で住まい手に『この敷地はOK!』とその場でGOサインを出させて頂いた土地でもあります。
着手前の状況。南から北へのびる通路。東側に隣家の小屋があります。
敷地から南を見ると・・・南側にそびえたつ隣家。ブロック積部が敷地境界部となりますのでギリギリまで建てられています。
勿論、専用通路・旗竿地であって、何でも良い住環境という訳ではありませんが、家づくり側の視点でみれば、一定の条件化では、評価が一転し、良い住環境の土地ともなりえるのです。
それは、つくり手=工務店・描き手=建築士の感性、実力次第という事でもありますが、この土地を一見した所、いくつかのポイントがありました。
・敷地から見て東側に南から専用通路。駐車予定部分の幅2.5m、狭い箇所で2m
・専用通路部 約17坪、有効敷地(建物が建つ所)約44坪
・南側隣家が敷地境界まで迫って建つ
・東側は2階建(一部平屋)
・西側は畑
など
皆様から見るとポイントのほとんどがデメリットにしか感じられないかも知れません(笑)
しかし、メリットもあるのでは?一番は価格です。コチラでは価格を公表出来ませんが、、、
周辺の土地相場からみても、専用通路・旗竿地は、比較的に割安になっていませんでしょうか?それこそ湘南地域で100坪の土地を購入し、30~40坪の家を建てるのであれば、何も悩む事は無く比較的自由に計画が出来ると思いますが、坪当たり100万円を超える相場地域にあっては、それは夢のまた夢、、、
まず第一のポイントは、専用通路部の幅員です。駐車を考えるのであれば最低でも車1台分の幅2.5m奥行き5mの空間が通路部分にあるか?になります。勿論、2.5m以上の幅員が長ければ、さらに駐車部分が増える事になります。
それに加えて、実際に建物が建つ事になる、有効敷地部分の面積になります。この敷地は恵まれている事に約44坪ほどの面積がありました。
これだけの面積があり、2階建ての計画であれば、デメリットの多くを解消、若しくは緩和する事が可能なのです。
文面だけだと分かりづらいかと?思いますので、実際の建物の写真をご覧頂きながら、説明させて頂きます。
東側:調査の結果、東側隣家は将来も現状程度の家規模、配置となる。あくまで法律的根拠に基づきにです。
まずは東側隣地の状況。お隣の敷地は、将来も法律的に、現在と同程度の建物規模や配置となる事が調査でわかり、後々も東側からの採光・通風は確保が出来る。これは大きいメリットになります。後々、、、が大事なのです。敷地周辺の環境は日々、変化していきます。現状はそうで無くとも、10年後、20年後、30年後・・・と、どの様な状況になるだろう?の予測が大事なのです。今の現況だけで計画するのだけは決して×です。
写真でご覧頂くと分かりやすいですね。南側に隣家があれど、この敷地は東側隣地の状況もあり、ある意味、東南の角地に様な状況化にあります。専用通路は自身の地所なので、将来も採光・通風は確保済み。この建物のリビングは通路の正面にあたる位置に配置してあります。それゆえ、視線を避けるために垣根を配置しています。写真は引渡し時につき植木も幼いですが、現在ではリビングからの目線、南隣家を遮る、玄関までのアプローチを兼ねた、垣根になっています。
通路から玄関までのアプローチ。左にはご主人念願の屋根付のバイク置場
専用通路から玄関までのアプローチ部分。玄関の戸(引戸)自体は南を向いています。玄関の採光は東側に設けた窓から朝日は入ります。当初から念願である、ご主人ご希望のバイク、サーフボード置場でもあります。この屋根のおかげで、小雨時程度では、玄関先は雨が当たりません。奥に見えるのは西側隣家の畑。描き手=建築士により、何が何でも玄関は東側、、、と考えているのか?と思うほどの位置に玄関先を設けている建物を見かけますが、その様な固定観念だけでは良い家は出来ないかと思います・・・。
Y’sの玄関は引戸が多いのですが、引戸の玄関は夏場、空け放しに出来る様にしています。
南側はご覧の通り隣家が建っており、南西の1階部分は日当たりが望めません。その短所を長所にすべく、一面壁としました。その壁のおかげで、玄関引戸を開放したままでも隣家の視線を遮りながら、自身のプライバシーも守れる事にもなります。朝のお出かけ時などの採光は東側に設けた窓から燦々と朝日が入ります。ご主人のご趣味でもあるサーフボードなどは、この大きな壁に専用金具をつかい置場として利用も可能です。
1階リビングからの眺め。今では植栽も育ち、良い目隠しにもなりますし、東側隣家の小屋も気にならない風景になっています。少し高い高木は、落葉樹でも良いですね。
垣根を利用した玄関までにアプローチ。Y’sのつくる家は、どの家も基本コンセプトは同じですが、道路から直接、玄関に向かうのでは無く、少しでも動線を長くする事が大事だと考えています。限られた敷地を最大限に魅せる事にもつながります。日本の伝統といっても良い考えかたの一つになります。このアプローチにより、南側隣家の建物の距離を離す事が出来るのです。実際に1階、2階共に居室部分の採光は、最大限に確保ができ、空き地の時に感じた南側の圧迫感、採光への不安など全く感じないかと思います。
専用通路、旗竿地が決して、悪い土地・・・となる訳では無い事を理解して頂けましたでしょうか?
土地探しは不動産業者では無く、建築業者、つくり手と行う事が、良い家づくりの為の第一歩かと思います。
以上
長文にお付き合いを頂きまして、有難う御座いました。
外観のご紹介だけで終ってしまいました・・・
次回は、内部のご紹介へへと続きたいと思います。
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是非、参考にして頂ければ・・・
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