化学物質と湿気
化学物質と湿気はどのように関係しているのでしょうか。
日本の住宅事情についてまとめてみました。
【昭和40年頃】
日本では、まだ、『呼吸する家』が生きていました。木・竹・ヨシで小舞いを組み、粘土・わらで使られた土壁は透湿性が良く、漆喰で仕上られた家はとても健康的でした。
透湿壁低気密住宅は、夏は涼しいのですが、冬は寒い家でした。
【昭和50年頃】
ベニヤ合板パネル・セメント板・軽量鉄骨などの工業製品が出回り、プレハブ住宅と呼ばれる窒息壁中気密住宅が生まれました。
通気ができず冬は結露がひどく、夏は暑いため、人々の暮らしにエアコンが普及し始めたのです。
【昭和60年頃】
この頃、住宅の輸入が自由化され、学者や国は『省エネルギーには高気密』と推奨され始めました。
ツーバイフォー構法と呼ばれる合ベニヤ打ちの合板窒息壁高気密住宅は、呼吸の出来ない家へと変わりました。
【平成元年】
伝統的な日本の家にビニールを張った在来ビニール張り住宅の登場で、高気密高断熱の窒息する家が確立されました。
【平成9年頃】
呼吸をしない家が確立されてから10年、日本全国から建材が原因で病気(新築病)になる人が続出しました。
国の調査が始まり、健康基準よりも6倍も多いホルムアルデヒドが、住宅から検出されたと発表。
さらには、家の蒸れ腐りが続出し、訴訟問題にまで発展していきました。
【平成15年】
学識者が5年間検討したシックハウス対策は、健康を最優先に考える機械換気設備の設置が義務化となりました。
窒息化した高気密住宅に風穴を開け、機械で24時間365日換気をする措置が施されました。
日本の住宅は暖かさを求めるあまり、空気を流さない=家の窒息が進んできました。
人間に置き換えれば、夏の暑い日でも、年中カッパを着て過ごすようなものです。
そうなれば人は汗を大量にかき、ひどくなれば脱水症状になってしまったり、皮膚呼吸さえ遮られてしまいます。
高気密・高断熱とは、家の呼吸を妨げて、内側から病気が広がり、長い年月をかけてそこに住む人の健康まで脅かしてしまうのです。
室の湿度が60%を超えると、カビやダニが活発に動き出します。これは直接的に人体の健康被害に繋がります。
施工性や量産性を優先して、つくられてきた新建材には、様々な化学物質が含まれています。もちろん、人体に影響を及ぼすもの
ばかりでは有りません。強ければ強い分、それだけの人の手が加えられえているという事です。その使い方には留意しなければなりません。
有害な化学物質やにおい成分は、水の分子である【湿気】の付着し、溶け込みます。
ジメジメしたところにカビが発生するのはこの原理です。湿気が高ければ増殖し、どんどんと広がっていきます。
つまり、水の分子である【湿気】をため込まない、外に逃がすことで、
そこに吸着し溶け込んだ化学物質も一緒に排出されていくのです。
“家”のために、そこに住む“人”のために、
まず、私たちの暮らすこの国、地域の環境とうまく暮らしていくことが重要です。
湘南 ワイズは地域の建築を創造していきます
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