Y’sの家づくりの真骨頂ともいえるお宅の紹介です。
今回の家づくりは、古材をアクセントにあしらい、室内壁のほぼ全てにおいて『土』を使用しています。古材というと名の通り「古い木材」となる訳ですが、こと木に関しては、木の伐採をしてから、材として使える状態になってから、樹種や産地に違いはあれど、徐々に強度が強くなり、100年を境に800~1000年の寿命まで、その性質を保つと言われています。
今回使用した古材は、北陸の豪雪地域で使われていた推定180年前の『欅』(ケヤキ)。Y’sの代表自らが現地に赴き探し、吟味して手に入れてきた材。180年もの間、じっくりと人の生活の中、そして自然に触れながら使われてきた材なので、急激に機械乾燥された材(現代に多い9割以上)と違い超寿命。まだまだ若い木材と違い、設置後に反ったり、捻れたりはしません。100年を超え、ちょうど使い盛りといった状態なのです。色合いも無理に着色をしたまがい物とは違い、生活の中、囲炉裏の煙に燻された木の風合いが、一層、内装にも趣をもたらせてくれています。
⇒コチラ 【Y’sで使う材 木】 無垢材とは?
エントランスに施した『大津壁』目立つ様で、あえて目立たせない工夫がしてあります。
写真の赤い外壁は、ペンキや樹脂塗料ではありません。この深い赤は、『大津壁』と言う左官の技法を使った壁で、赤色は「弁柄(ベンガラ)」の発色なのです。弁柄の赤色も自然に溶け込む赤なので、変に目立つことなく、玄関横に施していますが、嫌味無くこの家のポイントになっています。
欅(ケヤキ)の古材。存在感がありますが、家に溶け込み、圧迫感は全くありません。
外壁の下地(躯体)は、弊社の標準である木摺漆喰工法でつくり、耐火性能を向上させるだけでなく、室内の温熱環境にも大きく作用をしています。リビングの壁は、一見写真でみると見分けがつかないのですが、土を使った『糊土』という仕上げになっています。写真ではその質感をお見せする事が出来ませんが、やはり土本来の質感があり、土に似せた工業製品の仕上げ材とは一線を画します。
木摺土壁工法 下塗り時の画像
寝室や和室は、これも弊社の定番である『木摺土壁』工法を用いた土壁。仕上げは、あえて土の質感をもたせる為に「中塗り切替し」仕上としました。一般的な仕上げ材は平滑に仕上る事が多いのですが、中塗仕上げは、少し荒々しく仕上る事により、昼は陽の光、夜は照明の光で家の中に陰影を作り出し、質感をもたせました。土壁は見た目だけ無く、性能的にもっとも人の住まいに適した壁なのです。今回は説明を割愛しますが、見た目ばかりが優先させる事が多い現代の家づくりに、日本人、いや人としての棲家を思いださせてくれる壁でもあるのです。
工場製品の仕上げ材では、自然が育んだ材と違い、自然に溶け込む事は出来ないのです。
古材と土の家②へつづく
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