木摺+漆喰①で少し漆喰についてふれましたが、もう少し深く漆喰の解説をしていきます。
日本での原始的な漆喰は縄文時代からあったとされており、世界中でも太古の昔から使われています。考古学的には世界最古の例は5千年前のエジプトだそう
です。近代において新建材が使われる様になってから起きたシックハウス症候群や化学物質過敏症の原因の主たるものとされる、ホルムアルデヒドの吸着分解
の機能があるものとして注目を浴びているからか、昨今は部屋の壁や天井などにも多く使われる様になってきましたが、本来は室内だけでなく、外部（仕上げ・下
地）でも使われるものです。
ここで大前提として書いておきますが、本来、漆喰は職人が用途に応じて配合を考え自ら作るものであって、既製品で買ってくる物ではありません。製品化してい
る漆喰はどんなに素材が良くても固めるために化学物質の接着剤を使っていて漆喰とは名ばかりの別物で実際に性能も性質も異なる別ものです。
漆喰の作り方を簡単に説明しますと、主原料である消石灰（しょうせっかい）に、海藻（ふのり）・角又（つのまた）などの海草類を煮炊きしたものを粘着剤として入
れ、割れを防ぐための「つなぎ」である麻などの繊維「スサ」を加え、これらを水で練り上げ作ります。
銀杏草（海草）は角又の中では一番高価な海藻糊となっています。接着剤の役割ではなく、あくまで施工性を良くするものです。
炊いているところ
麻スサ。これらの材料を入れることによって、塗りつけ時の材料の落下を防ぎ、乾燥後の塗材の収縮亀裂を防ぐ目的があります。
消石灰。石灰岩を窯で、塩を加えながら焼かれる「塩焼き」で焼成された生石灰から作られます。校庭にラインを引いた…あれです！
全てをよく混ぜて漆喰の完成です。漆喰は酸素ではなく、二酸化炭素を吸って硬化します。
ここに書かせて頂いたものはいわゆる「本漆喰」と言われるものであり一例です。漆喰はその土地の風土やその土地で取れる素材に合わせて配合もさまざまで
す。砂などの骨材を混ぜた「砂漆喰」、色土を混ぜた漆喰もあり、土地の名称がついた土佐漆喰、琉球漆喰と言われるものもあります。前回、木摺+漆喰①
にも書きましたが、漆喰には防水性は無く、かえって吸い込みやすい素材なので、それを補う為に亜麻仁油や鯨油などの油を加える事もあります。
最近は左官職人ですら既製品の乾燥品で袋入りして水に混ぜて作る既調合漆喰のものが本物の漆喰と思っている人も多いのです…嘆かわしい。私の調査で
はありますが、2013年ビッグサイトで行われた全国の建材展でも、漆喰・珪藻土ともに全て名ばかりの見栄えが漆喰に似たまがい物しかありませんでした。
バケツ一杯にスプーン一杯の石灰が入っているだけで漆喰と商品名が入ってしまっています。現在の日本では、食品と違ってこれを規制する法律や規定が
ないそうです。細かい規定のある世界では考えられない事のようです。性能をみても比べるものがビニールクロスでは比べる価値もありません。本物の漆喰と
データを比べて欲しいものですね。
やっと本題に戻しますが、この世界的にも長い歴史をもつ漆喰ですが、この漆喰（砂漆喰）に牡蠣殻から特許製法で抽出した超高濃度カルシウムイオン水を加え
る事で【瀬戸漆喰】が誕生しました。【瀬戸漆喰】は従来の漆喰の欠点と言うべき、遅硬化速度を改善し現場での施工性を早くし、従来の漆喰と比べて5倍の強
度を実現しながら付着度も増し施工性を良くしている事から、DIYでの施工も可能です。勿論、漆喰がもつ特性である、調湿性能は結露対策にもなりますし、
蓄熱効果によって夏は涼しく、冬は暖かくなり、一日中安定した室温を保ちます。
漆喰は二酸化炭素を吸いながら固まり、1ｍｍ中性化するには10年かかると言われています。それなので塗厚が厚いほど長い期間性能が期待出来るともいえ
ます。弊社では、室内で6ｍｍ室外においては【瀬戸漆喰】を9ｍｍ以上塗っています。【瀬戸漆喰】の強度が実験や検証からも高いデータが出ている事から、
本年度中に耐力壁認定の取得を進めています。そうなると耐力壁の代名詞である筋交いが必要がなくなる日も近いのです！
ワイズでは【瀬戸漆喰】の開発や研究に携わり販売も行っています。こちらへ
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